【2026年最新】マルシェ・イベントの食品販売許可ガイド!食品衛生法のルールを徹底解説

【2026年最新】マルシェ・イベントの食品販売許可ガイド!食品衛生法のルールを徹底解説
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「趣味で作っている手作りの焼き菓子を、地元のマルシェで販売してみたい」

「週末だけキッチンカーやテントを出して、淹れたてのコーヒーやホットドッグを提供してみたい」

このような夢を抱いて、地域のイベントやハンドメイドマルシェへの出店を検討している方は非常に多いのではないでしょうか。自分の作った食べ物で誰かが笑顔になる瞬間は、何にも代えがたい喜びがあります。

しかし、食品を不特定多数の人に販売・提供する上で、必ず直面する「高く、そして極めて重要な壁」が存在します。それが「保健所の許可(食品衛生法)」です。

「1日だけの小さなイベントだから、許可なんて取らなくてもバレないだろう」「みんな自宅で作ったものを売っているみたいだし、大丈夫なはず」といった軽い気持ちで出店すると、後々取り返しのつかない大惨事を招く危険性があります。

日本の食品衛生法は年々厳格化されており、無許可営業は重い罰則の対象となります。さらに万が一、あなたの提供した食品が原因で食中毒事故が発生した場合、数千万円規模の損害賠償請求を受け、あなた自身の人生が破綻するだけでなく、イベントの主催者や会場を提供してくれた施設にまで多大な迷惑をかけることになります。

とはいえ、法律や許可制度は決して「あなたの夢を邪魔するためのもの」ではありません。お客様の命と健康を守り、そして何より「提供者であるあなた自身を守るためのルール」なのです。ルールさえ正しく理解し、適切な手順を踏めば、誰でも安全に、胸を張って食品を販売することができます。

ここでは、イベントやマルシェで食品を販売するために必要な許可の全体像を、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。その場で調理する場合(臨時営業許可など)と、事前に作って持ち込む場合(菓子製造業許可など)の2つのパターンに分け、それぞれの具体的な申請手順、必要な設備、そしてやってはいけないNG行動まで、2026年の最新情報に基づき詳しく解説していきます。安全で楽しいイベント出店を実現するために、ぜひ最後までお読みいただき、正しい知識を身につけてください。

1. 【まずは結論】マルシェ・イベントで食品を売るための「2つのルート」

マルシェや野外イベントで食品を販売する際、「どのような許可を取ればいいのか?」と保健所に相談に行くと、担当者からまず聞かれるのは「どのような形態で販売しますか?」という質問です。実は、イベントでの食品販売は、あなたのやりたいスタイルによって大きく「2つのルート(パターン)」に分かれます。

自分がどちらのルートに当てはまるのかを最初に明確にすることが、複雑な許可制度を理解する上で最も重要な第一歩となります。ここでは、それぞれのパターンの特徴と、例外的に許可が不要となるケースについて詳しく整理していきます。

現場で調理・提供する「パターンA(臨時営業許可など)」

パターンAは、マルシェの会場にテントを張ったり、キッチンカー(移動販売車)を持ち込んだりして、「お客様の目の前で調理、あるいは盛り付けを行って、その場で提供する」というスタイルです。

お祭りやイベントの屋台をイメージしていただくと分かりやすいでしょう。

  • 具体的なメニューの例:焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、かき氷、クレープ、ドリップコーヒー、生ビールなど。
  • 必要な許可の名称
    テント出店の場合:臨時営業許可(または営業の形態により露店営業許可)
    キッチンカーの場合:飲食店営業(自動車)

このパターンAの最大の特徴は、「販売する場所(イベント会場)」に対して許可を取るという点です。お客様に温かいものを温かいうちに提供できる魅力がある反面、野外という衛生管理が難しい環境で調理を行うため、提供できるメニューの品目や、現地で行える調理工程(どこまで仕込みをしていいか)に非常に厳しい制限が設けられています。

事前に作って持ち込む「パターンB(菓子製造業・そうざい製造業許可)」

パターンBは、マルシェの会場では一切調理を行わず、「あらかじめ別の場所(施設)で完成させ、袋やパックに包装された状態のものを会場に持ち込んで並べて販売する」というスタイルです。

ハンドメイドマルシェやクラフト市などにおいて、最も一般的で参加ハードルが低いのがこちらの形態です。

  • 具体的なメニューの例:クッキー、マフィン、パウンドケーキなどの焼き菓子、自家製ジャム、個包装されたパン、お弁当、お惣菜パックなど。
  • 必要な許可の名称
    お菓子の場合:菓子製造業許可
    パンの場合:パン製造業許可(自治体により菓子製造業に含まれる場合あり)
    お弁当やお惣菜の場合:そうざい製造業許可、飲食店営業許可など

パターンBの最大の特徴は、パターンAとは全く逆で、「販売する場所(イベント会場)」の許可ではなく、「食品を作った場所(製造施設)」の許可が問われるという点です。つまり、マルシェの会場で保健所の許可証を提示する際は、「私がこのお菓子を作った施設は、保健所の審査をクリアした衛生的なキッチンですよ」という証明を見せることになります。

【比較表】パターンAとパターンBの違い
項目 パターンA(現場調理) パターンB(事前製造・包装)
販売スタイル 会場で調理・盛り付けして渡す 包装済みの完成品を並べて売る
代表的なメニュー 焼きそば、ドリップコーヒー、かき氷 クッキー、ジャム、お弁当パック
どこに許可が必要か? 販売する会場(テント・車両) 製造する場所(キッチン・厨房)
主な許可の名称 臨時営業許可、飲食店営業(自動車) 菓子製造業許可、そうざい製造業許可
メリット 出来立てを提供でき、単価を上げやすい 会場での衛生リスクが低く、接客に専念できる
デメリット 提供できるメニューに厳しい制限がある 許可を得た製造施設(キッチン)を確保するハードルが高い

許可が不要な「例外」とは?(農産物のそのまま販売、既製品の転売など)

ここまで「食品を販売するなら必ず許可が必要」と解説してきましたが、実は食品衛生法上、特定の条件を満たす場合には保健所の営業許可が不要(または簡単な届出のみでOK)となる例外ケースが存在します。

どのようなものが許可不要で販売できるのでしょうか。代表的な例は以下の通りです。

  • 農産物・水産物の「原形」での販売
    自分で育てた野菜や果物(トマト、大根、りんご等)を、泥を落としたり葉を切り落としたりする程度の簡単な処理だけで、そのまま並べて販売する場合は許可不要です。ただし、これを「カットフルーツ」にしたり、「干し柿」にしたり、「漬物」に加工した瞬間に、特定の製造業許可が必要になりますので注意が必要です。
  • 常温保存可能な「既製品」の仕入れ販売(未開封)
    メーカーが製造し、すでに完全に包装された状態の「常温保存可能な食品」を仕入れて、袋を開けずにそのまま転売する場合です。例えば、市販のペットボトル飲料、袋入りのスナック菓子、缶詰などです。これらは衛生上のリスクが極めて低いため、販売許可は不要です(ただし、販売業の「届出」が必要になるケースがあります)。
  • 一部の食品販売業(届出制)
    令和3年の食品衛生法改正により、これまで許可不要だった一部の販売業が「届出制」に移行しました。たとえば、仕入れたお弁当やケーキ(冷蔵保存が必要なもの)を販売する場合、以前は許可が必要でしたが、現在は衛生管理を徹底することを条件に、保健所への「営業届出(許可より簡単な手続き)」のみで販売できる自治体が増えています。

※注意点として、「許可不要」だからといって、イベント主催者のルールを無視して良いわけではありません。多くのマルシェでは、トラブル防止のため、既製品の転売であっても事前に販売内容の申告を義務付けています。必ず主催者の出店規約を確認しましょう。

2. 知らないと怖い!無許可営業のペナルティと恐ろしいリスク

「たかが1日のマルシェだし、手作りクッキーを売るくらいで、大げさな許可なんて本当に必要なの?」

法律の複雑さを目の当たりにすると、ついそんな考えが頭をよぎるかもしれません。実際、SNSやハンドメイドアプリの普及により、食品販売のハードルが下がったと錯覚し、無許可で販売してしまう事例が後を絶ちません。

しかし、食品衛生法における「無許可営業」は、決して見逃されることのない重大な法律違反です。ここでは、ルールを破ってしまった場合に待ち受けている、極めて恐ろしい3つのリスクについて解説します。

保健所の指導と営業停止処分(懲役・罰金の可能性も)

無許可で食品を製造・販売していることが発覚した場合、まずは管轄の保健所から厳しい行政指導が入ります。

発覚のキッカケは様々です。「マルシェの来場者からの通報」「他の正規の出店者からの密告」、あるいは「保健所の職員によるイベント当日の見回り(抜き打ちチェック)」などがあります。特に規模の大きいイベントでは、保健所の職員が一般客を装って会場を巡回し、許可証の掲示がない店舗や、怪しいパッケージの食品をその場でチェックすることが頻繁に行われています。

無許可であることが確認されると、その場での即時販売中止・撤収命令が下されます。せっかく徹夜で作った商品も、すべて廃棄処分となるでしょう。

さらに悪質なケース(指導を無視して販売を続けた、大規模に無許可販売を繰り返していた等)では、食品衛生法違反として警察に通報され、刑事罰の対象となります。食品衛生法第71条などに基づき、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」という、極めて重い刑罰が科される可能性があるのです。これは単なる「注意」では済まない、明確な犯罪行為です。

食中毒事故が起きた場合の「数千万円の損害賠償」リスク

法的な罰則以上に恐ろしいのが、あなたの作った食品を食べたお客様が「食中毒」を起こしてしまった場合のリスクです。

食品衛生法に基づく許可施設(専用キッチン)は、手洗い設備の独立や、交差汚染(生肉の菌が野菜に移ることなど)を防ぐための動線が計算されて作られています。一方、許可を得ていない自宅のキッチンでは、家族の衣類を洗う洗濯機が近くにあったり、ペットの毛が飛散したり、日常の料理で使うスポンジに雑菌が繁殖していたりと、食中毒のリスクが桁違いに高いのです。

もし、あなたの作った商品で集団食中毒が発生した場合、どうなるでしょうか。

被害に遭ったお客様への治療費や慰謝料、仕事を休ませてしまったことに対する休業補償など、多額の損害賠償を請求されることになります。過去の食中毒訴訟の判例を見ると、被害の規模や後遺症の有無によっては、賠償額が数千万円から数億円規模に膨れ上がるケースも決して珍しくありません。

正規の許可を取得して営業している事業者であれば、万が一に備えて「生産物賠償責任保険(PL保険)」などに加入しており、保険金で賠償をカバーすることができます。しかし、無許可営業という違法行為を行っていた場合、当然ながらいかなる保険も適用されません。すべての賠償金を、あなた自身が私財を投げ打って支払うことになるのです。たった数百円の利益のために、一生を棒に振るリスクを背負うことになります。

イベント主催者や会場(スペース)への出禁と損害

無許可営業や食中毒事故が引き起こす悲劇は、あなた個人の問題だけにとどまりません。

イベントというものは、主催者の並々ならぬ努力と、会場を提供してくれた施設側(公園の管理者、商業施設、レンタルスペース等)の協力があって初めて成立しています。もしあなたのブースで保健所の摘発や食中毒事故が起きた場合、ニュースやSNSで「〇〇マルシェで食中毒発生」「〇〇公園のイベントで違法出店」と拡散され、イベント全体の信用が完全に失墜します。

その結果、主催者は保健所からの厳しい事情聴取を受け、翌年以降のイベント開催の許可が下りなくなったり、会場施設から「今後の貸し出しは一切お断りします」と永久出入り禁止(ブラックリスト入り)を言い渡されたりするでしょう。

他の善良な出店者の販売機会まで奪うことになり、主催者や関係機関からあなたに対して、イベントの中止に伴う莫大な損害賠償が請求される可能性も十分にあります。マルシェに出店するということは、自分自身のブランドだけでなく、イベント全体の看板を背負うという社会的責任を伴うのだということを、決して忘れないでください。

3. 【現場調理派】臨時営業許可の取り方と「やってはいけない」ルール

ここからは、マルシェの会場にテントを張ったりキッチンカーを出したりして、その場でお客様に出来立てを提供する「パターンA」に必要な「臨時営業許可(または自動車営業許可)」について深掘りしていきます。

お祭りの屋台のように活気があり、出来立ての温かさや香りで集客できるのが最大の魅力ですが、野外での調理は衛生管理が極めて難しいため、保健所が定める厳格なルールを遵守しなければなりません。ここでは、特に初心者が陥りやすい「やってはいけないNGルール」と、許可取得に向けた具体的なステップを解説します。

提供できるメニューの厳しい制限(直前加熱必須、生ものNGなど)

臨時営業許可を取得したからといって、レストランのようにどんなメニューでも作って良いわけではありません。野外テントなどの簡易的な設備で提供できる食品は、食中毒リスクを極限まで下げるために、原則として「その場で直前に加熱処理をするもの」に限られます。

【臨時営業】提供できるメニューとできないメニューの例
⭕️ 提供できるメニュー(加熱処理が中心) ❌ 提供できないメニュー(生もの・複雑な調理)
  • 焼きそば、たこ焼き、お好み焼き
  • フランクフルト、焼き鳥(十分に中心まで加熱)
  • クレープ、ベビーカステラ(その場で焼くもの)
  • かき氷(既成のシロップをかけるのみ)
  • ドリップコーヒー、温かいスープ
  • 刺身、お寿司、海鮮丼などの生もの全般
  • 生野菜を使ったサラダ、カットフルーツ
  • サンドイッチ(生野菜やハムを挟むためNG)
  • 手作りシロップ(非加熱)をかけたかき氷
  • 生クリームのトッピング(非常に腐敗しやすいため)

※上記はあくまで一般的な基準です。2026年現在、自治体(管轄の保健所)によって「クレープの生クリームは市販のホイップ済みチューブならOK」「かき氷はシロップの種類によって判断が分かれる」など、細かい運用ルールにバラつきがあります。自分が提供したいメニューが許可されるかどうかは、設備を整えたり食材を仕入れたりする前に、必ず事前に保健所の窓口で相談することが鉄則です。

「仕込みは自宅NG」の罠!必ず許可のある施設で行うこと

臨時営業許可において、最も多くの方が挫折し、または無意識にルール違反を犯してしまうのが「仕込み」の工程です。

現場での調理時間を短縮するために、以下のような作業を「前日に自宅のキッチンで」やってしまおうと考えていませんか?

  • キャベツやネギなどの野菜をあらかじめカットしておく。
  • 唐揚げ用の鶏肉を切り分け、タレに漬け込んでおく。
  • スープの出汁を前日から煮込んでタッパーに詰める。

これらはすべて「違法(食品衛生法違反)」となります。

前述の通り、自宅のキッチンは保健所の許可を受けた衛生的な施設ではありません。そこでの仕込み作業(特に食材をカットしたり、生肉を触ったりする行為)は、交差汚染や菌の増殖リスクを飛躍的に高めるため、固く禁じられています。

臨時営業のルールでは、「会場での調理工程は極力シンプルにする(焼くだけ、温めるだけ)」「どうしても事前の仕込みが必要な場合は、保健所の許可を受けた正規の調理施設(飲食店やシェアキッチンなど)で行わなければならない」と定められています。

解決策としては、以下の2つしかありません。

  1. 仕込み済みの業務用食材(半製品)を活用する:すでに工場でカットされ、真空パックされた野菜や、串打ち済みの焼き鳥(冷凍)など、信頼できる業者から仕入れたものを現場で開封してそのまま加熱する方法です。これが最も安全で、保健所の許可も下りやすい王道パターンです。
  2. 許可付きのシェアキッチンを借りて仕込む:どうしてもこだわりの手作りタレや独自のカット野菜を使いたい場合は、数千円を払ってでも地域の「菓子製造業・飲食店営業許可」がついたレンタルキッチンを借り、そこで仕込み作業と真空パック等への封入を行う必要があります。

必須となるテント設備の基準(三方囲い、手洗い、給排水タンク)

臨時営業の許可を取得するためには、保健所が定めた「施設基準」を満たすブース(店舗)を設営し、イベント当日に職員の検査をクリアする必要があります。テント出店の場合、主に以下の3つの設備が厳しくチェックされます。

① テントの「三方囲い」と屋根
食品を扱うスペースに、風で舞い上がった砂埃、雨水、ハエなどの虫が侵入するのを防ぐため、テントは「天井(屋根)」があることに加え、正面(お客様への提供口)以外の「左右と背面」の3方向を、シートなどでしっかりと覆う(囲う)ことが義務付けられています。よくある運動会用の屋根だけのオープンなテントでは、衛生上NGとなります。

② 手洗い専用の設備
食中毒予防の基本は手洗いです。「ウエットティッシュで拭くだけ」は一切認められません。テント内に、流水で手が洗える設備を構築する必要があります。一般的には、コック(蛇口)付きのポリタンクを台の上に置き、その下に排水を受けるバケツを設置します。さらに、消毒用の液体石鹸(ポンプ式)と、使い捨てのペーパータオルを必ずセットで用意します。

③ 給排水タンクの容量(※メニューにより変動)
手洗いや調理器具の洗浄に使用する「綺麗な水」を入れるタンクと、「汚水」を受けるタンクの容量は、提供するメニューの工程の多さによって、保健所から指定されるサイズが変わります。
例えば、「ペットボトルの飲料をコップに注ぐだけ」といった非常に簡単な提供であれば「18リットル程度」のタンクで許可が下りることが多いですが、「調理器具を現場で洗う必要がある」「大量の水を扱う」ようなメニューの場合は、「40リットル」や「80リットル以上」の巨大なタンクを用意するよう指導されることがあります。水は非常に重いため、このタンク容量の基準を満たせるかどうかが、出店時の大きなハードルとなります。

保健所への申請の流れと必要な費用・スケジュール

設備とメニューが決まったら、いよいよ保健所への申請です。申請は「イベントの当日」や「直前」では間に合いません。計画的なスケジュールで進める必要があります。

  1. 事前相談(イベントの約1ヶ月前)
    まずは管轄の保健所の窓口に行き、「〇月〇日のマルシェで、こんな設備で、こんなメニューを出したい」と図面やメニュー表を持参して相談します。この段階で、設備やメニューへのダメ出し(指導)をもらい、修正を行います。
  2. 申請書類の提出(イベントの約2週間前)
    指導内容に沿って設備やメニューを確定させたら、正式な申請書を提出します。必要な書類は主に「営業許可申請書」「施設の平面図(テントの配置図)」「食品衛生責任者の資格証明書」「仕込み場所の営業許可書の写し(仕込みがある場合)」などです。
  3. 申請手数料の支払い
    臨時営業許可の手数料は自治体によって異なりますが、概ね「数千円〜1万円程度」が相場です。この許可は「1つのイベントごと(数日間)」に有効なものと、「県内一円で1年間有効(ただし設備基準がより厳しい)」なものなど、自治体により種類が分かれていますので、窓口で確認しましょう。
  4. イベント当日の実地検査
    イベント初日の開始前、あるいは開催中に、保健所の監視員が実際にテントを訪れ、図面通りに三方囲いや手洗い設備が設置されているか、冷蔵庫に温度計が入っているかなどをチェックします。ここで不備があると、改善するまで販売を開始できません。

※臨時営業のルールは、食品衛生法改正(令和3年)により全国的な統一が図られつつありますが、それでも「お祭り・イベントの解釈」や「取扱品目の詳細」については、都道府県や政令指定都市の保健所ごとに独自の条例やローカルルールが色濃く残っています。「隣の県ではこれでOKだったのに!」は通用しませんので、必ず出店するイベント会場を管轄する保健所のルールに従ってください。

4. 【手作りお菓子・お弁当派】製造業許可の壁と「シェアキッチン」活用術

続いては、マルシェ会場では調理を行わず、あらかじめ完成させて個包装した商品を販売する「パターンB」について解説します。

ハンドメイド作家さんや、お菓子作りが趣味の方にとって最も人気のあるスタイルですが、ここに立ちはだかるのが「製造場所(キッチン)の許可」という巨大な壁です。

自宅キッチンでの製造販売が「極めて困難」な理由

「うちは毎日ピカピカに掃除しているし、家族も一度もお腹を壊したことがないから大丈夫!」

保健所の窓口で、多くの方がこのように主張されます。お気持ちは非常によく分かりますが、法律(食品衛生法)が定める許可基準は、「掃除が行き届いているかどうか」という属人的な努力のレベルではなく、「構造・設備として衛生が担保されているか」という物理的なハード面を厳しく審査します。

例えば、菓子製造業の許可を取得するためには、最低限以下のような設備基準をクリアしなければなりません。

  • 生活空間との完全分離:家族が食事をするリビングや、ペットがいる部屋とは、壁や扉で完全に区切られた「専用の独立した部屋」でなければなりません。アイランドキッチンや、アコーディオンカーテンでの仕切りは不可です。
  • 手洗い専用シンクの設置:調理器具を洗うためのシンク(2槽以上が必要な場合あり)とは別に、「手洗い専用」の独立したシンク(蛇口)が必要です。
  • 床や壁の材質:水を流して清掃でき、かつカビが生えにくい材質(耐水性のコンクリートやタイルなど)であることが求められます。一般的な家庭用のフローリングや壁紙はNGです。
  • 手洗い場への消毒設備の固定:手洗い場には、固定式の消毒液ディスペンサーなどが設置されている必要があります。

いかがでしょうか。一般的なご家庭のキッチンでこの条件を満たすことは、数百万円規模の大規模なリフォーム(保健所の基準を満たすための厨房新設工事)を行わない限り、実質的に「100%不可能」なのです。

そのため、自宅で作ったクッキーやパンをマルシェで販売することは、法律上完全にNG(違法行為)となります。

「知り合いの飲食店のキッチンを借りる」のは違法?合法?

自宅がダメなら、「定休日の日だけ、知り合いが経営しているカフェのキッチンを借りてお菓子を焼かせてもらおう」と考える方も多いでしょう。

結論から言うと、これは「条件付きで合法だが、極めてハードルが高い(トラブルになりやすい)」と言えます。

知り合いのカフェが「飲食店営業許可」を取得していることは間違いありません。しかし、そのキッチンをあなた(別の人)が借りて、別の名前で商品を製造・販売する場合、保健所への「施設の共同使用の届出」や、あなた自身を申請者とした「新たな営業許可の取得」が必要になるケースがほとんどです。(※自治体によって見解が異なります)

また、万が一あなたのお菓子で食中毒事故が起きた場合、場所を貸した知り合いのカフェも「営業停止処分」等の巻き添えを食らうことになります。責任の所在が曖昧になりやすいため、安易な貸し借りは人間関係を壊す原因になりかねません。

救世主!菓子製造業許可付き「シェアキッチン(レンタルキッチン)」

自宅もダメ、知り合いの店も借りられない。では、個人でお菓子を売ることは諦めるしかないのでしょうか?

近年、この悩みを解決する画期的なサービスが全国的に急増しています。それが「菓子製造業許可や飲食店営業許可をあらかじめ取得している、業務用のシェアキッチン(レンタルキッチン)」です。

シェアキッチンとは、時間貸しで本格的な厨房設備を利用できる施設のことです。これらの施設は、保健所の厳しい設備審査をすでにクリアしており、「このキッチンで作ったものであれば、マルシェで販売したり、ネット通販で売ったりしても合法ですよ」というお墨付きを得ています。

【シェアキッチン活用のメリット】

  1. 初期費用ゼロで始められる:自分で厨房を作る数百万円のリフォーム代が不要です。1時間あたり1,500円〜3,000円程度の利用料のみでスタートできます。
  2. 本格的な機材が使える:家庭用とは火力が違う業務用オーブン、大型のミキサー、広々とした作業台や巨大な冷蔵庫など、プロ仕様の機材が使い放題です。
  3. 成分表示ラベルの相談ができる:シェアキッチンの運営者は食品衛生のプロであることが多いため、販売時に必須となる「食品表示ラベル」の書き方や、パッケージングのコツなどを相談できるケースが多々あります。

「レンタルスペース」や「公民館の調理室」など、キッチンが付いている場所はたくさんありますが、「保健所の製造業許可」を取得している施設でなければ販売用としては使えません。探す際は必ず「菓子製造業許可付き シェアキッチン 〇〇(地域名)」で検索し、利用規約をしっかり確認してから予約しましょう。

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5. 出店者全員に義務付けられた「3つの必須項目」

パターンA(現場調理)でも、パターンB(シェアキッチンでの事前製造)でも、食品を販売して対価を得る以上、プロ・アマ問わずすべての出店者に共通して義務付けられている「3つの必須項目(神器)」があります。これを怠ると出店を取り消されるだけでなく、法令違反となります。

① 「食品衛生責任者」の配置(1日講習での取得方法)

食品を扱うすべての営業施設(またはテント等の臨時営業)には、必ず1名以上の「食品衛生責任者」を配置することが法律で義務付けられています。

「調理師免許などの難しい国家資格が必要なの?」と不安になるかもしれませんが、ご安心ください。

栄養士や調理師の資格を持っている方は自動的にこの責任者になることができますが、そうでない一般の方でも、各都道府県の食品衛生協会が毎月開催している「食品衛生責任者養成講習会」を1日(約6時間)受講するだけで、誰でも取得が可能です。

受講料はテキスト代込みで1万円前後です。最後に簡単な理解度テストがありますが、講義をしっかり聞いていれば落ちることはまずありません。講習終了後、その日のうちに「食品衛生責任者手帳」が交付されます。マルシェ出店時にはこの手帳のコピーの提出を求められるため、食品販売を志すなら真っ先に予約して取得しておきましょう。(※近年、講習会は非常に人気で、数ヶ月先まで満席という地域も多いため早めの行動が必要です)

② 「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理の記録

2021年の食品衛生法改正により、すべての食品事業者に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が完全義務化されました。

HACCPとは、宇宙食の安全性を確保するためにNASAで開発された国際的な衛生管理の手法です。横文字で非常に難しそうに聞こえますが、マルシェに出店する個人レベルの小規模事業者であれば、やるべきことは以下の2つだけです。

  1. 「衛生管理計画」を作る:「トイレの後は必ず2回手を洗う」「冷蔵庫は常に10度以下を保つよう、1日2回温度をチェックする」「お肉は中心部まで色が変わるまでしっかり加熱する」といった、当たり前の衛生ルールを紙(計画表)に書き出す。
  2. 「実施記録」を毎日つける:イベント当日の朝、昼、夕方に、「冷蔵庫の温度はOKだったか」「手洗いは実施したか」「お客様からのクレームはなかったか」を、記録表(チェックシート)に「良・否」でチェック(レ点)を入れる。

つまり、「ルールを決めて、それを守った証拠を記録に残す」という作業です。厚生労働省や各食品関係団体のホームページに、小規模事業者向けの分かりやすい「手引書(テンプレート)」が無料で公開されています。これを印刷してイベントに持参し、当日はペンでチェックを入れるだけでHACCP義務化には対応可能です。

③ 厳格化された「食品表示ラベル」の正しい書き方

パターンB(お菓子やお弁当など)のように、容器包装に入れられた状態の食品を販売する際には、食品表示法に基づく「食品表示ラベル(一括表示)」を商品一つひとつの裏面に必ず貼り付ける義務があります。

お客様の命(アレルギー等)に関わる重要な情報であるため、記載すべき項目や文字の大きさ(原則8ポイント以上)まで厳格に定められています。必須項目は主に以下の通りです。

  • 名称:「クッキー」「マドレーヌ」「弁当」など、そのものが何であるか一般的な名称を書きます。
  • 原材料名:使用した原材料を、「重量の多い順」に記載します。アレルギー物質(特定原材料等28品目)が含まれる場合は、「小麦粉、砂糖、卵、バター(一部に小麦・卵・乳成分を含む)」のように必ず明記しなければなりません。
  • 添加物:ベーキングパウダー、着色料、保存料などを使用した場合は、原材料とは区切りをつけて記載します。
  • 内容量:「1個」「100g」など。
  • 消費期限または賞味期限:「消費期限 2026.10.15」など。期限の設定は、「何となく1週間くらい」といった勘で決めるのはNGです。科学的根拠(類似品のデータを参考にする、検査機関に出す等)に基づき、安全な期間より短めに(安全係数をかけて)設定する必要があります。
  • 保存方法:「直射日光、高温多湿を避けて保存してください」「10℃以下で冷蔵保存」など。
  • 製造者:製造した施設(シェアキッチン等)の名称、住所、責任者の氏名を正確に記載します。

ラベルに不備がある(アレルギー表示が漏れていた等)と、商品の全量回収(リコール)という大惨事に発展します。初めてラベルを作る際は、必ず管轄の保健所や、シェアキッチンの運営者に記載内容のチェックを依頼しましょう。

6. 【イベント主催者向け】食品出店者を募集・管理する際のチェックポイント

ここまでは「出店者」の目線で解説してきましたが、もしあなたがマルシェやフェスを企画する「イベント主催者」である場合、食品衛生法に対する責任はさらに重大なものとなります。

イベント会場内で食中毒や法律違反が起きた場合、出店者だけでなく、場を提供した主催者の管理責任が問われることになります。ここでは、主催者が自らのイベントと来場者を守るために、事前に必ず行っておくべきチェックポイントを解説します。

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食中毒やトラブルを防ぐ「出店規約」の作り方

食品を扱う出店者を募集する際、ただ「飲食店募集!」と告知するだけでは非常に危険です。後々のトラブルを防ぐため、募集段階で明確な「出店規約(ガイドライン)」を定め、これに同意した人だけを出店させる仕組みを作りましょう。

  • 提供メニューの事前承認制:出店者が何を販売するのか、事前にすべてのメニューを提出させ、生ものや衛生リスクの高い食品が含まれていないかを主催者側でチェックします。
  • 責任の所在の明確化:「万が一食中毒事故や衛生トラブルが発生した場合、すべての損害賠償責任は出店者自身が負うものとし、主催者は一切の責任を負わない」という免責条項を規約に盛り込み、誓約書にサインをもらいます。(ただし、主催者の管理義務が完全にゼロになるわけではありません)。
  • 保険加入の義務化:食品を販売する出店者には、「生産物賠償責任保険(PL保険)」や「施設賠償責任保険」への加入を必須条件とし、保険証券のコピーを提出させるのが最近の主流です。

主催者が事前に提出させるべき「3つの証明書」

イベント開催の数週間前には、全出店者から以下の書類のコピーを必ず回収し、主催者として一元管理してください。これが揃っていない出店者は、当日の出店をキャンセルさせる勇気も必要です。

  1. 営業許可証の写し
    現場調理の場合は「臨時営業許可証(または自動車営業許可証)」、包装済みのものを持ち込む場合は、製造元施設の「菓子製造業許可証」などのコピーを必ず回収します。
  2. 食品衛生責任者手帳の写し
    各ブースに必ず1名以上の有資格者が配置されているかを確認します。
  3. 検便検査の証明書(直近1年以内)
    ノロウイルスや赤痢、サルモネラ菌などの保菌者ではないことを証明する検便の検査結果(陰性証明)を提出させます。食品を扱う以上、検便は常識であり、これを嫌がる出店者は衛生意識が低いとみなすべきです。

保健所の巡回に備えた会場レイアウトと手洗い場の確保

イベント当日は、保健所の職員が巡回(実地調査)にやってくる可能性があります。主催者は、会場全体が衛生的に保たれるようなレイアウトを事前に設計しておく必要があります。

  • 食品エリアの隔離:雑貨やハンドメイドアクセサリーを売るブースと、食品を調理するブースはエリアを明確に分けましょう。土埃が舞いやすい場所や、トイレ・ゴミ箱のすぐ近くに食品ブースを配置するのは避けてください。
  • 共同の手洗い場とゴミステーションの設置:出店者用とは別に、来場者が食事前後に手を洗える場所(アルコール消毒液の設置など)や、食べ残しを衛生的に回収できるゴミ箱(蓋つき)を適切に配置し、定期的に清掃するスタッフを巡回させましょう。

主催者と出店者が「衛生管理の重要性」を共有し、協力し合うことで、初めて安心・安全な食のイベントが実現します。

7. まとめ:ルールを味方につけて、安心・安全な食のイベントを開催しよう

いかがでしたでしょうか。この記事では、マルシェやイベントで食品を販売するために必要な「食品衛生法」のルールと許可制度について徹底的に解説してきました。

記事のポイントをもう一度おさらいしておきましょう。

  • 提供スタイルで許可が変わる:現場で調理するなら「臨時営業許可」、作って持っていくなら「菓子製造業許可等(製造施設の許可)」。
  • 無許可営業は極めて危険:懲役や罰金、数千万円の損害賠償リスクがあり、人生とイベントを破壊する行為。
  • 自宅キッチンは使えない:手作りお菓子を売りたい場合は、必ず「許可付きのシェアキッチン」を活用する。
  • 3つの神器を忘れずに:食品衛生責任者の資格、HACCPの記録、正しい食品表示ラベルの作成は全出店者の義務。

「書類を集めたり、シェアキッチンを予約したり、HACCPの記録をつけたり…なんだか面倒くさそう」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、これらのルールはすべて「あなたの作った美味しい食品を、お客様が心から安心して、笑顔で食べてくれるため」に存在しています。正しい許可を取得し、ルールを守っているという「自信」は、お客様への最高の信頼(ブランド価値)へと繋がります。

法律は決してあなたの夢を邪魔するものではありません。ルールを正しく理解し、味方につけることで、あなたのマルシェ出店は必ず素晴らしい成功を収めるはずです。

SpaceCollabo(スペースコラボ)では、初めてマルシェを主催される方や、キッチンカーを出店できる場所を探している方向けに、衛生面や消防法などのルールをクリアした「安心・安全なイベントスペース」を多数ご紹介しています。
「自分の商品にあった最適な出店場所が知りたい」「イベントを企画したいが、ルールが複雑で不安」といったお悩みがありましたら、ぜひお気軽にSpaceCollaboの専門スタッフまでご相談ください。あなたの挑戦を、全力でサポートいたします!


著者

寺島 翔平

イベントを開催したい業者様と、スペースを貸したい施設様との仲介業務を行っています。特に買取催事を中心に、個人として約15社の業者様の平日イベントスペースをスーパーマーケットなどで確保。業者様が安心してイベントを実施できるよう、迅速かつ柔軟な対応で日々場所の確保に尽力しています。

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